「海棠さんも食べなきゃ、なくなっちゃうよ」
海斗を見ながら笑ってるばかりの海棠さんに、シュークリームを載せた皿を差し出した。受け取った彼は皿を掲げて、珍しそうに眺めてる。
「ありがとう、こうして間近で見ると本当に大きいんだ」
「そうでしょ、昔からこの大きさだよね?」
同意を求めた海斗はまもなく食べ終えるところ。あとひと口ほどの大きさになったシュークリームを口に運ぼうとしたところで手を止めた。
「ああ、俺らが小さい時からあるよなあ。この店に行くって言ったらシュークリームだろ?」
「うん、ケーキを買うのは誕生日ぐらいだね、ケーキも美味しいんだけど、それよりシュークリームだよね」
「俺は誕生日ケーキと一緒にシュークリームも買ってもらってたなあ、ケーキだけじゃ物足りない気分なんだよなあ……」
と言って、海斗は残ったシュークリームを口の中へ。
私も負けじとかじりつく。
瞬間、彼と目が合った。
彼もまた、大きな口を開けている。
おまけに彼も私も同じように、口の端っこからクリームが飛び出してきてる。引っ込めたくてもどうしようもできなくて、お皿で受け止めた。

