もう何年か経ったら、どんな言動をするようになるんだろう。もちろん不安もあるけれど、今は楽しみの方が大きい。
「明日には帰っちゃうんだね、寂しくなるなあ……」
「うん、ありがとうね。午前中には帰るつもりだから、瑞香ちゃんがバイト行ってる間になるよ」
「気をつけてね、小花ちゃんもパパに会ったらすぐに機嫌治るかな」
「だろうね、パパにべったりだと思うよ」
小花ちゃんの姿が想像できるから、思わず笑えてしまった。紗弓ちゃんも呆れたように笑い出す。
寂しくなるけど、さほど遠いところに住んでいるわけじゃない。会いたいと思えば、すぐに会いに行ける距離なんだから。
ふと浮かんだのは海棠さんのこと。
もし突然東京に帰ってしまうなんて言い出したら……
思うと同時に、玄関の戸が開いた。
「ただいま」
と、海棠さんの声が届く。
いつも和室で待っている小花ちゃんがいないことに気づいたのか、不思議そうな顔で台所へやってくる。
「小花ちゃんは?」
「部屋にいるの、ちょっと拗ねててね……」
紗弓ちゃんから事情を聴いた彼は部屋へと向かった。もちろん紗弓ちゃんと一緒に、小花ちゃんと話したいと言って。

