聴かせて、天辺の青



ようやく私たちへの質問が終わり、警官から解放された。
予想以上の疲れを感じながら家の中へ入ると、和田さんたちとおばちゃんが和室にいてテーブルを囲んでいる。



「お疲れさん」



と和田さん達に優しい声を掛けられた途端に、体の力が抜けていく。



「怖かったぁ……」



思わず声が漏れて、和室を入ったところでぺたりと座り込んだ。



「何も悪いことしてないのに怖いことあるか!」



笑和田さんの笑い声が、私に喝を入れてくれる。
何にも悪いことなんてしてないのだから、怖がることなんて何もない。その通りなんだけど、麻美に言われたことがまだ尾を引いてる。



隣に座った彼が、にこっと微笑んでくれた。おばちゃんまで笑ってる。



「たまに来るのよ、おまわりさんが巡回に。瑞香ちゃんは会ったことなかったの?」

「聞いたことはあるけど、直接会ったことないから……、悪いことしてなくてもびっくりするよ」



おばちゃんの淹れてくれたお茶をすすりながら、ふうと息を吐く。



「 瑞香ちゃんは意外と小心者やなあ、可愛いやん」

「ホンマや、さっきのちょっと怯えた目が可愛かったで」



和田さんと本郷さんが笑い合う。
その声をかき消すように、バタバタと廊下を駆けてくる足音。