聴かせて、天辺の青


「どうしてここに来たの? 仕事?」



と問われて、彼がほんの少しだけ顔を強張らせた。動揺しているのとは違うけど、たまたま……なんて言ったら変に怪しまれてしまうかも。
そんなことを考えていたら、私の方がおどおどしてしまう。



ふと視線を感じて振り向いたら、駐車場に面した部屋の窓から、おばちゃんが見ている。目が合った途端に、おばちゃんの心配そうな顔が解れて小さく頷いた。
もう、おばちゃんも何か聞かれてたのかな。



警官が来たのは、何かしら疑いを持ってきたんじゃない。ただの地域の巡回だとわかっているのに、やたらと緊張していまう。



まだ先日のコンビニ強盗犯は捕まっていない。彼のことを疑われたりしたらどうしよう。余計な不安ばかりが浮かんでくる。



それに、さっき麻美が話していたこと。こんな時に彼が素性を明かしたりしたら……と思うと、さらに身構えてしまう。



今は何にも聞きたくない。



彼がブルーインブルーのサポートメンバーなんて、私にはどうでもいいこと。ここに来た理由はなんとなく察しがつくけれど。



彼が前を向いてくれることの方が、私には大事だから。