聴かせて、天辺の青


いつまで居るの? 
なんて尋ねたら、早く出ていけと受け取ららかねないだろうから言わない。絶対に。



『いつまでも居たらいい』と言ったのは本心。
きっと彼もわかってくれているはず。



だったら、これから先のことを。



彼のいる未来を期待してもいい?



「夏になったら、水遊びしに来ようよ」



ちらりと彼を振り向いた。



「子供みたいに?」



くすっと彼が笑う。



「うん、子供みたいに遊んでみようよ」

「そうだな……楽しいかも、だったら、アンタも一緒に入ろうよ? 水嫌い?」

「嫌いじゃないけど、水着持ってないよ」

「あ、俺も。あの衣料品店に売ってるかな?」

「シーズンになったらね」

「買いに行こうか、海も行かなきゃいけないし」

「え? 海水浴苦手じゃなかった?」

「うん、だけど和田さんに言われたから」

「あ、そうか……、一緒に買いに行くの?」

「運転手が居ないと、俺買いに行けないし」



確かに彼の言う通り。
だけど、自転車で行こうと思えば行ける距離だよ?
なんてことは言いたいけど言わない。



なんだか、ちょっと楽しいから。



とんとん会話が続いて、彼が笑ってる。こんなにも和気あいあいと話ができるのは、初めてかもしれない。少し前の憂鬱なんて、まるで吹っ切れたみたい。



もっと話していたい。
もっと笑ってほしい。