彼と私の頭の上には大きな『?』が浮かんでいるはず。本郷さんと有田さんはわかってるみたいに、にこにこした顔をしてるけど。
「海棠君な、もっと焼かなアカンわ、色白いねん、ずっと気になってたんや」
少しためらうように唇を噛んでいた和田さんが、心を決めたように口を開いた。本郷さんと有田さんは小さく頷いてるけど、彼と私は目が点。
「そ、そうですか?」
彼が首を傾げて、返事に困ってる。
きっと今まで言われたことなんてないのだろう。
私だって、何をいきなり……と思った。
「ああ、俺みたいに黒ならなアカン」
「いや、和田さんは黒過ぎると思う……」
反論せずにはいられない。
だって和田さんみたいに浅黒くなった彼なんて想像できないし。
「なんや、黒い方が男らしいしモテるねんで!」
和田さんは大きな声で笑う。
本郷さんも有田さんも。
彼も、顔を伏せ気味に目元をくしゃっとさせて笑ってる。
こんなに笑ってる彼は初めて見たかも。

