「和田さん、さっきの人たちは知り合い?」
口いっぱいに頬張ったまま、和田さんは何度も頷いた。
尋ねるタイミングが悪かったらしい。
「一緒に仕事してる子や、課は違うけどな」
和田さんの代わりに応えてくれたのは本郷さん。隣りで有田さんも頷いている。
「そうや、女の子は事務員さんや、地元の子」
「まだ二十二、三やったんちゃうか?」
発電所の定検期間中、派遣された作業者のための事務所が設けられる。そこで事務作業などをするための事務員は、地元で採用されている。
「しかし知らんかったなあ、いつの間に……やな」
ふうっと和田さんが息を吐く。
事務所では全く親しくしている様子はなかったらしい。お互いに素っ気ない態度だから、そんな仲になっているとは気づかなかったと。
「そない言うとうけど、和田さんも……でしょ?」
本郷さんと有田さんが顔を見合わせて笑ってる。
「なんや、俺のことはどうでもええやろ」
大きく手を振って、必死に話を遮ろうとする和田さんは明らかに照れている。これは何かありそうだし、聴かないわけにはいかない。