きょとんとしていた彼が、ふっと笑ったように見えた。



「これ、アンタに」



と言って、ポケットから取り出した小さな封筒。可愛らしい動物のイラストの描かれた包装紙で折られた手作り感いっぱいの封筒だ。



彼は封筒を手のひらに載せて、私に差し出す。



「何?」
「いいから取って」



戸惑っているうちに彼は私の手を取り上げて、小さな封筒を握らせた。そのまま何にも言わないで、すぐにそっぽを向いてしまう。



封筒を手でなぞると、ぽっこりと膨らんだ感触。



「開けていい?」



彼が僅かに頷いた。
そっぽを向いたままの横顔が、何だかよそよそしく見えてしまう。



きらりと輝くシールを剥がして、封筒の中へと指を差し入れた。柔らかくてふんわりとした心地よい感触が指に絡まる。



そっと引き抜くと、花のモチーフのついたシュシュ。
さっき気になって見ていた髪飾りだ。



「どうして?」
「さっき見てただろ?」



尋ねたのに、彼が答えたのは私が知りたいのとは違うこと。



「見てたけど……」



これ以上、どんな言い方で尋ねればいい?