「うん、好き……、大好きだった。今聴いてもいい歌だと思うよ。でもこの人たち、どこに行っちゃったんだろうね」
笑顔で答えた後、浮かんだ疑問。
この『ランドスケープ』のヒット以降も彼らは季節ごとに曲を出していたけど、次第に売上は下降線を描いていった。世間の流れと同じように、自然と私も彼らから離れて。
いつの間にか、彼らのことを忘れてしまっていた。
英司がここを離れて上京したように、彼らは私から離れていってしまったんだ。
なんて勝手な解釈。私から忘れたくせに。
「何か買ったの?」
彼が口元に笑みを浮かべた。
薄らいでいた怒りもすっかり消えて、やわらかな表情にほっとする。
私の手元を覗き込むから、提げていたビニール袋を掲げて見せた。白いビニール袋から、鉢植えの輪郭が見てわかる。
「うん、鉢植え。可愛いでしょ? おばちゃんにお土産」
「ああ、可愛い花だね、おばちゃん喜んでくれるよ」
彼の笑顔の向けられた先には、きっとおばちゃんの笑顔。
この笑顔を、ずっと見ていたい。
もう怒ったり、悲しい顔は見たくない。
できるなら、私にも笑顔を向けてほしい。

