聴かせて、天辺の青


振り向いた彼は、むっとした顔をしている。見るからに怒っているのがわかった。



「ごめんなさい、それ……」
「ああ、要らない」



言い掛けた私の口に蓋をするように、ぴしゃりと彼が言う。珍しく強い口調は、やっぱり怒っているようだ。



再び戻そうとするCDを、そっと覗き込んだ。



あれは確か、以前思い出せなかった曲。道の駅の店内で海斗と一緒に聴いて、『懐かしい』と言い合ったけど思い出せなかったんだ。



「ブルーインブルーのランドスケープ、だよね?」



思わず声を上げて、彼の手からCDを取り上げた。ようやく思い出せたすっきり感に、胸が満たされていく。



この曲を聴いていた高校生の頃の思い出が蘇ってくる。楽しかったことも嬉しかったことも、いろんなことが次々と。



ブルーインブルーは男性二人組のバンド。確か『ランドスケープ』は彼らがメジャーデビュー後、ちょうど一年目に出したシングルだったはず。シャンプーか飲料のCMソングに使われて、当時かなりヒットしていた。



だって聴かない日はないほど、どこでも毎日必ず耳にしていた歌。
今でも私は、歌詞を見なくても歌える自信がある。