ぐるりとひと回りして買ったのは小さな花の鉢植え。おばちゃんの家の隅にでも置いてもらおうと、お土産のつもり。
迷ったけど、髪留めを買うのはやめた。どうせ、いつもひっつめ髪だから使う機会もないし。
そろそろ海棠さんもひと回りした頃かな。どこに行ったのかと、もう一度店舗を回り始める。
回り始めてすぐに海棠さんの背中が目に留まった。
彼は屈み込んで、何かを手に取って熱心に眺めている様子。いかにも邪魔をしてはいけないような空気をまとっている。
とりあえず彼に気づかれないように、そっと近づくことにした。
店舗の青いビニールシートの上には、子供向けのおもちゃやゲームがたくさん並んでいる。さらには中古の本やCDやDVDまで。
彼の手には一枚のCD。
じっと眺めている横顔は、買おうかどうしようか悩んでいる風に見えた。彼が大きく息を吐く。
そのままCDを元の場所へと戻そうとするから、
「買わないの?」
と、つい声を掛けた。
声は掛けないつもりだったのに、ぽろりと零れ出てしまった。
驚いたのは私よりも彼。
肩が大きく揺れるのが、見てわかるほど。
あまりにも大袈裟だったから、私の方が驚いてしまう。

