聴かせて、天辺の青



開店を待ち構えていたお客さんが、店内にぱらぱらと入ってくる。百貨店のバーゲン初日の開店みたいに、傾れ込んでくるほどではない。お客さんの数はせいぜい十数人程度。



だけど私たちが準備しているのをガラス越しから既に品定めをしていたから、真っ直ぐ目標に向かっていく姿はちょっと怖い。



彼らの獲物は、地元の農家が畑で収穫した野菜。スーパーで売っている物に比べたら形は整っていなかったり不揃いだけど、安全性と新鮮さでは決して負けてはいない。



レジを任された私はてんてこ舞い。



普段よりも開店が遅れたことでお客さんが集してるだけでなく、みんな待たされたから少なからず苛立っている。



そんな苛立ちを口に出さずにはいられない人たちもいるから困ったものだ。怒っているわけじゃないけれど、嫌みっぽく聞こえてしまうこともある。



それらをさらっと受け流しながら、申し訳なかった感を表すのは正直なところ疲れる。