ほっとする間もなく、海斗の後ろには彼の姿。配送箱を抱えて、何か言いたげな顔をしている。
「どうしたの? それは?」
「これも空になったから載せてもらってもいい? あの箱は俺が取ってくるから」
柄にもなくおどおどしながら尋ねると、彼は店の隅に置いてある配送箱を顎で指し示した。海斗が持って行ってと話していたものだ。
「あ……、うん、わかった。そっちまで台車持っていくよ」
私の返事を聞いた彼は、抱えていた箱を台車に載せて店の隅へと駆けていく。私は台車を押して彼を追いかける。
「じゃあ、それ片付けたらレジ頼むな」
海斗の張りのある声が、小さな店内に響いた。

