聴かせて、天辺の青



開店前の道の駅、駐車場には海斗の黒い車だけが、ぽつんと停まっている。朝日に照らされた艶やかなボディが眩しい。


そういえば最近、車が綺麗な気がする。砂埃が乗ってくすんでいたり、フロントガラスに雨の跡が残っていたりしていない。


相変わらず車高が低い車のフロントバンパーと地面との隙間を眺めながら、車の前を通り過ぎる。


ふと気づいた。


隙間の大きさが、いつもと違う?


以前はもっと地面に擦れそうなほど低かったと思う。握り拳ひとつが入るか、入らないか……というほど。


だけど今は、握り拳がふたつぐらい入りそうに見える。


車に疎いからよくわからないけど、何かが違うような気がする。
いや、バンパーの形が変わった?


「どうしたの?」


彼の声に気づいた。
自分が海斗の車の真ん前で、いつの間に自転車を停まっていることに。


不思議そうな顔をした彼が、振り返っている。