「ホンマにそう思ってんのか? 風呂上がりの子供か、プール帰りの子供にしか見えへんで?」
「瑞香ちゃんは化粧っ気がないからなあ、もうちょっと化粧したら絶対に変わると思うねん」
和田さんの失礼な発言に、本郷さんがフォローだか何だかわからない言葉を付け加える。有田さんは二人を見ながら、笑いを堪えきれない顔をしてる。
まったく失礼な人たちだ。
確かに私は普段から、あまり化粧は濃くない。日焼け止めの上に薄っすらとファンデーション、アイメイクも見た目にわからないぐらい薄い。
でも、ちゃんと理由があるんだから。
「私は敏感肌で荒れやすいから、化粧は控えめにしてるんですっ!何でも塗りたくったらいいってモノじゃないんだからね!」
あんまり言いたい放題だからキツく言い返してやった。それなのに、三人はきょとんとして全然応えてないようだ。
「はいはい、失礼しました。瑞香ちゃんはデリケートだからね」
にやにやと笑いながら言う和田さんが、ふと顔を上げた。
皆が和田さんの視線を追う。
和室の入り口に誰か立っている。
と思ったら、一緒に海に落ちた彼だった。

