それから教室には先生が入ってきて、HRが始まって…


今はすでに放課後。



「音羽〜、あたしバイトだから先帰るね!!」


「わかった」



奈都未はこれからバイトだということで、あたしは1人で帰る。


会社まではいつもバス通学。

そんなに遠いわけでもないから結構楽。


あたしは奈都未が帰ったあと少し経ってから席を立ち、鞄の中に道具を詰め込んだ。


部活をする人やバイトをする人が多いクラスだから、もう教室にはあたしを含め2人しかいない。



あと、1人はというと…



「…」


さっきから何やら雑誌とにらめっこをしている木梨君だった。


何読んでるんだろ


不思議に思ったあたしは無意識に木梨君の方をずっと見ていた。


すると、不意にこっちを向いた木梨君と目がばっちり合った。


「…!」



あたしは驚いて思わず目を反らしてしまった。