【完】1mの距離

 「やっぱり、忘れちゃってたかぁ。上の空だったもんね。」


 「いや、思い出した。」


 「じゃあ、私の名前は?」


 「えーっと、渡部?」


 「渡辺だって。だからだよ?美佳がこんな風になったのは。」


 は?


 俺がふったせいで、美佳をこんなにしたっていうのか。


 「なん…で、なんで美佳なんだよ?俺を恨むなら俺にすればいいだろ!?」


 「それじゃ、だめだよ。健くんは、この方が辛いでしょ?まぁ、どうしても。って言うなら、やめてあげてもいいけど?条件付きでね。」


 何、言ってんだ?こいつ。


 でも……。これ以上美佳を傷つけたくはない。