「ごめん、遅くなって。」


 そんなことを考えている間に、健が帰ってきたみたい。


 「お帰り。大丈夫だよ。そんなに待ってないから。いろいろ考えたりしてたら、すぐに時間過ぎちゃった。」


 「よかった。ありがとう。じゃあ帰ろっか。」








 「いろいろって、何考えてたんだ?」


 帰り道、突然聞かれた私はなんて答えるか戸惑ってしまった。だって、『健が誰かと付き合ったら、寂しい』だなんて、言えない。


 そんなこと、言えるはずがない。


 結局、私が言えたのは


 「いや…ちょっとね?」


 そんな、曖昧な言葉。