健side

放課後



 なんだよ。呼び出したくせに、待たせるなんて。



「ごめんね。遅くなっちゃって。はじめまして、だよね。私、1組の渡辺里奈っていいます。突然なんだけど、健くんのことが、好きです。もしよかったら、付き合ってもらえませんか?」



 ホント誰、こいつ?見たことねぇ。告白したから何?俺は、美佳だけだし。

 でも、あいつは俺のこと、ただの幼なじみとしか、思ってないんだろうな。


 こんなタイミングでも、美佳のことを考えてしまう。



 「あの…、やっぱり無理かな?」



 「えっ。あぁ、ごめんな。」



 「だよね。健くん、好きな子いるでしょ?」


 「へっ!?」


 思わず、変な声が出てしまった。


 「見てたら、分かるよ?林田美佳ちゃん、でしょ?」


 1回も話したことのない奴にまでバレてるって、そんなに俺って分かりやすいのかな。


 「お…おぅ。分かってたんだ…ごめん。だから、付き合えない。」


 「うん。呼び出してごめんね。」


 俺は、気付かなかった。教室から出ていく、彼女の顔が豹変したことに…。