いつまでそうしていたのだろうか。

いつの間にか、差し込む陽光は橙色へと変化し、どこか憂いを含ませて、街を染めていた。その色使いは、美幸の心を少し軽くしてくれた。

美幸はこの時間帯が好きだ。外界との唯一の媒体である窓から太陽の終わりを見届けるのが日課だ。
同時に近くの浜辺を眺める。
昼間は騒がしかったその場所が、今は閑散として、カップルもほとんどいない。

『今日は少し気分がいいから、散歩してみようかな』

美幸はゆっくりと準備をしだした。