「そー言えば、今日って椋雅場所知ってる?」
「俺は聞いてない。耀雅が知ってると思うぞ。」
「そっか。」
廊下で話してるのもアレだったので、私たちは中庭にいた。
…今日はまだ、拓真にも言ってない大切なことがある。
嬉しいのか、多分嬉しくないであろうことだけど…
「鐘なるから戻るか。」
「うん。」
それだけじゃない。
私は、椋雅にも耀雅にも言ってないことがある。
今さら言えることでもないでもないんだけど。
だけど、それでも言わないのは、まだ勇気がないから。
言葉にする勇気も、拒絶を受け止める勇気も。


