「七海、帰ろうか。」 肯定も否定もしない。 ただ拓真君の胸に、顔をうずめて泣きじゃくる。 拓真君はそのまま私をお姫様抱っこすると、路地を出て街中を歩いた。 重いだろうな、とか、メーワクかけたな、とか思うことはいっぱいあったけど 拓真君は何も言わないし、なにより、私が喋れるような状況じゃなかったから 私はずっと拓真くんにしがみついてた。 「ついたよ、七海。」 そう言って器用に片手で私を支えながら、家の鍵を開ける。