陽side
──あれは、高2の夏休み
おじいちゃん達は、その頃にはもう海外暮らしをし始めていた。
夏休みにはおじいちゃん達が帰ってくる。
俺はそれが楽しみだった。
奏や麗華も交えての夏休み。
あいつらは春の模試で総ナメをくらって、俺が指導をしている。
「陽様、会長様から連絡があって」
「うんっ」
吉村さんもずっと仕えている。
「陽様と同い年のいとこが海外におられるらしく、その方もいらっしゃるそうなのですが…」
「……うん、大丈夫だよ」
せっかくの夏休みなのになぁ。
ちょっと落ち込む。
でも、まぁ仕方ないっか。
複雑な気持ちになりながらも、
おじいちゃん達が帰ってくるのを待ち遠しくしていた。

