「そんなことがあったんだ…」


私が話したことに驚く礼。


「そうよ。
礼、愛されてるわねぇ…」


私の言葉でカッと赤く頬を染めた。



「礼、あなたは幸せになりなさい。
私はね、2回も相手を幸せにできなかった。
ううん、幸せを作れなかった。
だから、礼は陽くんを信じて互いを高め合って素敵な家庭にしなさい。

礼は、優しすぎて自分を閉じ込めることがあるけど、
そういうときは甘えなさい。

彼は広い心で受け止めてくれるわ。


わかった?」



私は礼と目線を合わせ、

強く、諭すように、

優しく、最後の務めになる言葉を言った。



「はいっ」


礼は涙を一筋流し、

元気に返事をした。