「僕は去年の梅雨頃、
“幸せにしたい”
そう言って付き合い始めた大切な人がいます。」
周りが少しざわめいた。
「プロポーズ?」
「え、彼女いたの?」
「結婚!?」
そんな声が口々に聞こえる。
礼は目を見開いて驚いていた。
俺は構わず続ける。
「その人は、俺をヒーローだと言う。
でも俺が頑張るのはただ一つ、
あなたの笑顔を守りたいから……。
そのためならなんだってする。
………礼、おいで」
俺が礼を呼ぶと、
クラス中がどよめいた。
礼は氷のように固まった。
タオルさえ落とした。
「礼、おいでってば…」
手招きをすると、落としたタオルに目もやらずに俺の隣にきた。
「えっ、どういうこと?」
「黒澤さんと先生が?」
「うそっ……」
うるさくなってしまった教室を
「静かに」
と恭哉が注意した。

