恭哉くんは、 壁に片手をつけてあたしを見下ろした。 「なっ、なんですか!?」 「いやぁ? もしかしてチャンスなのかなぁーって」 「ちゃ、チャンス!?」 なんのチャンスでございましょ? 「そう……。 佐伯からお前を奪うチャンス」 あたしと恭哉くんの距離は、 わずか5㎝くらい。 「近いよ、近いってば!!!」 腕を前に伸ばして 距離を作ろうとしたら、 手を抑えられてしまった。 あわあわあわっ