絶対に怒鳴られる。 そう覚悟していたのに、 あたしは陽にきつく抱き締められた。 「あ、のっ……」 「良かったぁー…、礼が無事で。 ケガしてない? 怖かっただろ?」 優しい声だ………。 ぶわっ… 涙が溢れてきた。 「礼!? どっか痛い?」 否定を込めて首を横に振る。 「じゃぁ、どうしたの?」 「陽…、ごめんなさいっ。 それと、ありがとぅ…」 怖かった。 絡まれたときに、 神田組のことを思い出してしまった。 「俺の話、聞いてくれる?」 肯定を表すために首を縦に振る。