準備室に残ったあたし達。

「よかったぁぁー…」


安心したのかふっと力が抜けて
座り込んでしまった。


ポンポンと頭に一定のリズムを刻まれた。


「?」

「俺は嬉しかったなぁ。
礼が俺のことをあんな風に言ってくれて」


ニコッと微笑まれ、あたしは恥ずかしくなって俯く。


「礼はさ、俺を“ヒーロー”だって言うけど、俺にとっての礼は“天使”だから。
それも花の輪っかを付けてる可愛い俺専属の天使ちゃん」


て、天使?



「だから……」


陽はしゃがみ、あたしと同じ目線になる。


「だから、俺の前では幸せな顔してて…」


甘く囁かれ
唇が重なる。


空からは雨が止んでいた。