お説教。

駅に着くと彼がいた。

会いたくなかった。

絶対泣くし。

「ほら、

 なんで最後の最後に忘れるかな。」

「嘘っす。

 俺、

 会いたくて。」

「は~?」

「そこにね、

 俺んちの鍵入ってます。

 いつでも来てください。」

何言ってんだか。

ああ、

さみしいさみしい。

行くな。

「実花さん、

 俺、

 頑張ってきます。」

「うん。」

「実花さんのおかげで、

 今最高頑張れてます。

 必ず出世して、

 実花さん、

 幸せにしますから。

 くたばんないでくださいよ。」

「馬鹿。」

最後の言葉がなければ、

最高の言葉だった。