嫌な記憶を振り払い、窓の外を見やる。
自棄に寒いと思ったが、どうやら雪が降り出したらしい。
シトシトと振り出した雪をぼんやり眺めながら、チラリッと隣の和室に視線を移した。
そこには、あの厳しかった祖父が横たわっている。
季節の変わり目に突然倒れた祖父。年が年だから、別に不思議ではなかった。
『ざまぁないな・・』
あの人も、病には勝てないと言う事だろう。
別にそれが可哀想だなんて微塵も思わない。
だって、それだけの事をこの人はしたのだから。
なのに、この時の私はどうかしていたのかもしれない。
そう、ほんの気まぐれ。気まぐれで私はその扉に手を掛けた
それが私の運命を変えるなんて、知らずに・・・。

