この家に、温もりなど存在しない。

そんな事当の昔に知っていた。

だから、今更この冷たさに驚きなどしない。


『ふぅ・・。』

小さく息を吐き、ソファにバッグを投げ捨てる。

カバンの中から見え隠れするのは大量の教科書類。


あの日から、私の全ては勉強に変わった。

もう、武道などしない。しても、このつまらない人生は変わらない。


剣も、胴衣も、全て捨てた。

あんなもの、あってもどうしようもない。


そんな思いを吹っ切るように、私は冷蔵庫から出した水を一気に煽る。

冷たい水が、外の冷気で冷えた体を更に冷やす。