目の前に居る大きな獣は、毛の色が白い。光の当たり具合で、銀色にも見えそうな色合いだ。打って変わって、瞳の色は金色。何だかもう全体的に神々しい生き物だ!!

『ほえぇぇぇ!?』

そして、その子供もやはり神々しかった!
親獣より、毛がファサファサしている!可愛い!!何これ可愛い!!!

《可愛いだろう?》
『めっちゃ可愛いっす!!!』

抱きしめたい衝動に駆られながら、ジィィと穴が開くんではないかというほど、見つめる。

・・・そして、気が付いた。

『怪我・・』
《・・むっ。》

この子獣怪我をしている。毛の一部が禿げていてそこから痛々しい傷が見えていた。

《我が目を離した一瞬の隙に・・な・・》
「手当ては!?治療はしないの!?」
《またこの子から離れて怪我をされては困る。もうこの子から我は離れない》

そんなっ・・。
それじゃぁ、この子は傷の化膿で死ぬかもしれないのに・・。

また怪我して欲しくないって気持ちは理解する。
離れたくない。傍に居たいって気持ちも理解する。
けど、それじゃあ治療が出来ない!!!

クッと苦虫を潰したような表情で、クルリッと踵を返した。