リンッ---
小さな鈴の音を鳴らしながら、私は雪が積もった白い道を一人歩いた。
小さい頃、祖母が私にくれた鈴が、首元で鳴る。
この鈴音家で、唯一私を愛してくれた人間、それが祖母だった。
辛い修行も、祖母のおかげで頑張れた。
そんな祖母が亡くなって既に3年。祖母は私が初めて全国制覇した次の日に亡くなった。
それはまるで、私が勝つまで見守ってくれていたかのようなタイミングだった。
そんな祖母が私にくれた、唯一の宝物がこの鈴だった。
祖母の扇子に付いていたこの鈴を幼い私は大層気に入っており、そんな私にくれたのだ。
鈴に赤い紐を通して首に巻きつける。そうしてチョーカーのようにして首から提げていた。
その鈴が、冷たい風に晒されて時たま綺麗な音を鳴らすのだ。
カラリッと音を立てながら、玄関を開ける。
冷たい空気が頬を撫でる。
それはたった今まで居た外以上に、冷たいものだった。