んふふふぅーーー。と奇妙な笑い声を出しながら、風呂場から出れば丁度良く帰ってきたらしい父に、出くわした。
父の姿を見た瞬間、たった今まで幸せだった気持ちが一気に凍りつく。
緩んでいた表情筋が、またいつものようにニートになる。
「・・居たのか」
冷たい冷たい声が、耳に届く。
違う。違う違う違う。私が求めていたのはこんな声じゃない。
もっと優しくて暖かい、彼の声。
同じ男なのに、こいつと彼では天と地ほどの差がある。
冷えた心に必要なのは、温もりのある声。
あぁ、早く会いたいなぁー。イルちゃんにー。
「・・おい、もう部活はいいのか」
『・・は?』
滅多に話しかけてこないくせに、今日は何故だか話しかけてきやがった。
意味わからんしー。いつもみたいに無視してくれれば、すぐさまイルちゃんの所へいけたのにー。

