あの、百夜の約束は果たせれないけれど。
それでも私はあなたのことは忘れないから。



隣の敷地へ通じる通路を抜け、彼の家のポストに私の家の鍵を仕舞い込む。

引き払って欲しいけど、自分では流石に出来ないから。


彼に頼ろう。



ごめん、面倒だと思うけれど。


これくらい許してくれるでしょ。



それに、私のこと嫌いになっても
忘れないで欲しいから。




そんなエゴが含まれた鍵に想いを託す。










そして、私は夜が明けるその前に、この家を後にした。