一瞬の逡巡のち。




でもそれだけは、分かる。
彼には迷惑をかけられない。




彼は大好きな作家でもあり、
なにより愛しい人でもあるから。



たとえ、彼のことをどんなに愛していても、その思いが迷惑になることだってある。
それに、彼にはきっと重過ぎる。


私と、私の病気はきっと、重い。






……それならば最初から無かった事にしてしまえばいい。

彼とこんなに親密に慣れたのは身分不相応だってこと分かっているから。


だから、わがまま言わないんだ。





私だけ傷つけばそれでいい。
彼には出来るだけ、辛い思いはさせたくないもの。