流れるようにボールペンを走らせ
―――ごめんね、俺が代わってあげられたら。
と。
こんなこと言わせたくないのに。
だから、やっぱり私は駄目なんだ。
―――ごめんね。病院行くから。
現実をみる、とはこんなに怖いのか。
文字を描く手が小刻みに震える。
これから、ずっと耳が聞こえなかったら。
思うだけでぞっと身震いした。
怖い、
つらい。
圧迫感、閉塞感。
ただ怯え震えるしか出来ない。
こんなの私じゃない。
手のひらに伝わる温もり。
見やれば、彼の手が私の手に重なっていた。
片手をはずし、彼はまたボールペンを執った。
―――俺は君だけの見方でいる、だから安心して。