『そういうの、反則だ。』
そう呟いて今度は唇に甘い口付けを落とした。



「私だって、なつめさんの隣に立ちたい。」
むくれ気味に返せばなつめさんは困ったような顔をした。



『雫さんの気持ちだけで十分。
そんな風に俺のこと考えてくれるなんて本当に愛しいよ。』




「多分私ばっかり、なつめさんのことが好きです。」
胸の中に秘めた思いを今なら言える気がした。
だって、そんなに素敵なことを言われたら誤魔化しは利かない。




「わたしね、…『待って、それは明日の朝聞かせて。』





「あっ、そうする。」




『待ってるから。』



そう言えば私の体を自分のほうへ抱き寄せて、その腕に抱かれる。
温かくて、優しい。
背中をぽんぽん叩かれると心地よい眠りに誘い込まれる。




まぶたが重くなる。

手で少しこすると、
『少し寝たら。』響く声と、まぶたの上に優しく落とされた口付けで私は意識を手放した。