「この卵とか、どうしてこんなに巻いてあるんですかー。」
『巻く?』
「バームクーヘンのみたい。」
『バームクーヘン…。」
「私の母は、大雑把な人だったんで、卵は1層構成でしたね。」
こんなに綺麗な玉子焼きを作ってくれるのは、運動会とか遠足くらいだったと思う。
普段は、のぺーっとしてる玉子焼きだった。
『そうなの?俺いつもこれだよ?』
驚いた顔でこちらを覗き込む。
一層、一層、とぶつぶつ呟いている。
「なつめさんの卵好きです。」
『卵だけ?』
と怪訝な顔で聞かれた。
『なつめさんが好き、じゃなくて?』
不意打ちでこういうことを言ってくるのはずるい。
どんどん顔が朱に染まっていくのが分かる。

