居間に上がると急須とお茶の準備を手馴れた様子で始める彼の後姿を眺める。
『ほら、今日は少々肌寒いから。』
注がれたお茶を口に含む。
「無駄に、お上手です。」
『そう、美味しいか。よかった。』
「そうだ、さっきコロッケ買ったんです。
お一つどうぞ。」
袋のテープを剥がしていると、彼はその場を離れお皿を出してきた。
『これの上に乗っけてください。』
「あ、準備のいいこと。」
箸をとり、いただきますと二人で合唱するとなんともいえない気持ちになった。
痒い、痒い。
『これ、かぼちゃ?』
「そうなんです、美味しいって勧められて。」

