自分のデスクに腰を下ろし、ノートパソコンの電源を入れる。
小気味悪いブーンという音が掠めて、
これはもう駄目かもしれないとか思ってしまう。
メールボックスを開くと“雫(しずく)さん”というタイトルが目に入った。
クリックをひとつ。
メールが開いた。
いつも悪いね。
今日も原稿引取りよろしくね。
藤野
・・・、悪いと思っているのか。
まぁ、それなら、まだよしとしよう。
それから事務的にパソコンに向かい、
ひと段落つく頃にはもう12時の鐘が聞こえてきた。
椅子にかけてあった薄手のコートを羽織り、机の横から手に取る。
「大さん!藤野先生のところに行ってきます。」
一言かければ、『おおー頼むぞー。』と喝を入れられた。

