「ゲネ様が考えたのは、私が飛び道具だからだと思います。でも、王族の護衛となると、万が一の時飛び道具は役に立ちません。素手で考えると、一番強いのはロイルだと考えます」
「武器も、己の強さの一部だと思うがなぁ…。でも、ジュリアがそう言うなら、よかろう」
「ちょっと、ジュリア?いいの?」
焦るマーサに、ジュリアは微笑みながら頷いた。
それに、ロイルは次期族長でもある。
こういう時が、その器があるのかどうかを全体に示すいい機会なのだろうか。
「じゃあ、私は銃の手入れに行くね」
マーサにそう言って立ち去ろうとすると――…、ゲネに止められた。
「これ、ジュリア。どこに行く」
「え?」
「勘違いしとらんか? ジュリアとロイルの2人に、この依頼を引き受けてもらうのじゃ」
「……え」
予期せぬゲネの言葉に、ジュリアの頭は追いつかなかった。
ゲネは動かないジュリアの腕を掴み、そして族長テントに向かった。
「ロイルも、ついてこい」
名前を呼ばれ、ロイルはハッとしてゲネについていく。
そんな3人の様子を、マーサは笑いながら見ていた。
「おー、2人、かぁ。ふふ、ロイル頑張れ~♪」
マーサの言葉を聞いていた周りの族民も、みんなニヤニヤしながら見ていた。
もう誰も異論はないようだった。
…カング以外は。



