赤髪戦士



ジュリアも例外ではない。

武器の手入れ道具や弾の補充もしたい。
それに、そろそろ靴も新調したいと思っているところだった。


しかし、誰を行かせるかの判断は、族長であるゲネがする。

さっそく頼み込みに行こうとする者もいて、マーサはため息を吐いた。


「カングだ。あいつ、サルーン国に恋人ができたらしくて、金が必要なんだって。バカだよね。……って、ゲネ様だ」


マーサの言葉に、みんな一斉に右を向いた。

必死に何かを話すカングに笑顔だけを向けると、ゲネはこちらに向かって歩いてきた。


ゲネは見回し、全員いるのかどうかを確認してから口を開いた。


「みんな、依頼板は見たようだね」

「ゲネ様。ヴィルニ国へは、誰が行くのですか?」


その問いに、ゲネはゆっくり頷く。


「詳しいことは書いてないが、この依頼は特別だ。今まで受けてきた依頼の中で、一番と言ってもいいだろう。よって、族の中で最も腕の立つ者を行かせるべきだと考えた」


その答えを聞き、何人かはため息を吐いた。

まっすぐとゲネを見るジュリアを、マーサは一瞬見た。


「よって、ジュリア」

「…。え?」

「お前にこの依頼を受けてもらう」


ゲネの言葉に、ジュリアはぽかんとした。

ゲネは今、最も腕の立つ者と言ったはずだ。
なのに、なぜ私?


「あ…あの、ゲネ様。族で一番強いなら、ロイルなんじゃないですか?」


ジュリアの言葉に、皆ざわつく。
5000リギーがかかっているのに、それを他人に譲るなんて! そう聞こえてきそうだった。

最も、一番驚いているのはロイル自身だった。


「…ほう? それは、なぜだ?」