すると三沢さんは、意味深に口角を上げ、
「ほお、ラブコールじゃないとしたら何なんだろうねえ」
自分のデスクに珈琲をコトリと置き、挑戦的に私を見下げる。
一方の私も負けないくらいに目元に力を入れて、三沢さんを見上げた。
「どちらかというと、子どもを心配する父親的な感じでしょうか」
「過保護すぎるだろ。父親下の階にいるんだろうが」
「…義父?」
「そこはどうでもいい」
はぁ、溜め息を吐いて、珈琲を一口飲むと再び口を開く。
「だから、もっと真面目に…」
「まぁまぁまぁ、その辺にしてあげましょうよ三沢さん~。可哀想じゃないですかぁ」
三沢さんの言葉を遮り、だらしなく間延びする声が背後から聞こえた。私はごく普通に眉根を寄せる。
断りも入れず頭の上に置かれた手に、舌打ちは自粛しなかった。
その手を振り払い、三沢さんの方へと歩み寄り、背中に隠れるようにしてそいつを睨みつける
「職場内セクハラで訴えますよ、大渕 真」
刺々しくそう言い放つと、大渕 真(オオブチ マコト)は、フッと髪をかきあげ、余裕の笑みを向ける。
何こいつ。ナルシスト通り越してナルセストとかに変化するんじゃないの。最上級とかになっちゃうんじゃないの。
…あ、良くない? これ。なんか全国に広めたい、この新しい用語。
