「俺、強運の持ち主なのに……」
愁は腕を組んで首をかしげている。
どうやら本気で当たると思っていたみたい。
「強運て……。使い果たしたんじゃないの。その、凄いものを手に入れて」
「それならそれでもいいけど」
若干不満そうではあるけれど、はずれたことをそれほど引きずる事もなく、愁は潔く雑誌のページをパタンと閉じた。
「とにかく。ハズレたんだから、どんな凄い物を手に入れたのか教えてよね」
私は、グアムが駄目なら凄い物の正体だけでもちゃんと知りたいと愁に訊ねた。
じっと私が見つめると、少しだけもったいぶったような顔をした愁が口を開く。
「しかたねぇなぁ。めぐ、俺はな、スゲー確率で」
「スゲー確率で?」
「なんと」
「なんと?」
「めぐに出逢ったのだーー」
言った瞬間に抱きしめられて、私は数秒固まった。
えーっと。
それって。
数秒後、言われた意味を理解して私の体は急激に熱を持つ。
グアムの暖かさなんて、きっと比じゃない。
「な。俺、スゲー確率でスゲーもの手に入れてんだろ?」
得意げな言い方がムカついたけど、私は笑顔で頷いた。
おしまい