やっと授業を全部終え、ルンルン気分で屋上のドアを開けた。 愛しの和ちゃんは既に来ていて、一人ブツブツと台本読みの真っ最中のよう。 「かーずちゃん」 「おっせーよ」 「ごめん、ごめん」 「これ台本な」 少し丸まった台本を、ぽんと手に渡される。 「私、セリフあわせなんてしたことないよ」 私は、ただの帰宅部。 演劇なんて、遠い世界のお話なのだ。