家に着くと、少し錆付いてきたブレーキが高い音を立てて自転車が止まった。

「ありがとう、たっちゃん」
「おう」

私がお礼を言えば、たっちゃんはとても照れくさそうな顔をする。

「また、明日ね」

その顔にバイバイって手を振ろうとしたら、たっちゃんが私を引き止めた。

「秋深っ……」
「ん?」

「その……。後ろ……、痛くねぇか?」
「え?」

「だからっ。ケツ、痛くねぇか?」

たっちゃんが、気遣いながらも照れ隠しにわざと強く言ってくる。

「う~ん。少し痛いけど、でも大丈夫」
「そか」

本当は、デコボコ道でいつもお尻が痛いけど、私は平気なフリをしたんだ。