私は、賢ちゃんの着ているシャツをぎゅっと握る。

そしたら、賢ちゃんが“あい”って私の名前を呼ぶから、つぶっていた目を開けたんだ。

途端に、チュッっと唇が触れた。

え?!

賢ちゃんのキス。
それと同時に耳元では、カチッ! て音がした。

「ほら。痛くないっしょ」

驚きと嬉しさの方が勝って。

「い、痛くない」

賢ちゃんが、してやったり顔でにっこりと笑った。






   おしまい