一人の男子が私に向かって言った。

「殺人鬼の娘に座らせる席はねぇ!」

どこかの芸人のものまねをしながらの台詞に、教室は一気に笑いに包まれる。

「そうだそうだ!お前も刑務所入ってこいよ。お前の父親は人を殺しておいてまだ謝りもしてないんだろ!?最低だよな。ゴミだゴミ。人間のごみ!」

皆は面白そうに笑っているけれど、私は笑えるはずもなく、涙をこらえるので精いっぱいだった。

足ががくがくふるえて、足元が抜けてしまうような感覚がする。

「わっ!」

いきなりランドセルを引っ張られて後ろに倒れそうになる。

何事かと振り返ると、私のランドセルに油性ペンで男子が何か書いていた。

「人殺しの娘が呑気に学校なんて来てるなんておかしいだろ。世間さまにもお前の父親がどういう人間か知っておいてもらわないとな。もう学校なんてこれねぇ様にしてやるよ」

「や、やめて…!」
「やめてじゃねーよ!お前に拒否権なんてねえんだよ!」


そう言われて周りを見ると、皆が私を睨んでいた。