『事件当時の目撃証言によると、犯人は身長170cm~175cmほどで、中肉中背、スーツ姿にレインコートを着ていたとのことです。
警察では目撃証言から犯人のモンタージュ写真を作成しているそうです。新しく情報が入り次第お伝えします』

そこでレポーターとの中継が途切れた。

画面にはいつものアナウンサーが映し出され、話題は次のニュースへと変わる。

自分の住む町の中で、そんな事件があったなんて。
急に怖くなってきた。

戸締りちゃんとしたっけ…。
ふと気になってリビングを飛び出した。

父が帰ってくるだろうからチェーンはかけられないけど、鍵はしっかりかけておかなくては。


玄関に向かって、扉をチェックする。
きちんと鍵はかけられていた。

安心してリビングに向かおうとすると、目の前のドアノブがひとりでに回った。

驚いて後ずさるが、それが外から誰かの手によって廻されていることに気付くと、恐る恐るドアに近づく。

その間もドアはガチャガチャと壊れそうなくらい動き回っている。その光景はどこか不気味だった。

父ではない。

それは確実だった。
鍵がかかっていれば自分で開けられるし、たとえ鍵を忘れていたとしても、インターホンを鳴らせばいい話だ。

誰…?
誰が居るの?


私は先ほどのニュースを思い出すと、また体が震えだし、そこから一歩も動けなくなってしまった。